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書面添付制度の普及状況

税理士が関与した申告書について

書面添付制度をすすめる声をよく耳にします

実際に書面添付があったものの件数の割合が

どれくらいか調べてみました

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書面添付制度とは

書面添付制度とは、

  • 税理士法33条の2に規定する書面添付制度
  • 税理士法35条に規定する意見聴取制度

を総称したものです。

平成13年の税理士法改正において事前通知前の意見聴取制度が創設されその存在意義が飛躍的に拡充されました。

事前通知前の意見聴取制度では、

  1. 税理士法第30条に規定する税務代理権限証書
  2. 税理士法第33条の2に規定する書面を添付した申告書を提出している、

という2つの条件を満たしている場合、調査の通知前に、税務代理権限証書を提出している税理士に、添付書面に記載された事項に関する意見を述べる機会を与えなければならないこととされました。

さらに、平成21年には「意見聴取を行った結果、調査の必要性がないと認められた場合に、税理士等に対し現時点では調査に移行しない旨を原則として書面により通知する」などの国税庁事務運営指針の一部改正がされました。

 

より具体的に書面添付制度を説明すると、税理士が申告書作成にあたり、

  • 納税者から受けた相談内容
  • 税理士が行った会計処理判断や税務判断
  • 税理士として申告書内容についてどのような所見をもっているのか

などを所定の書面に記載して申告書に添付します。

そして、この書面添付をすると、調査対象となる前に税理士に記載内容についての意見を求める「意見聴取」があり、この意見聴取で疑問点がすべて解決できれば、調査省略となります。

また、調査に移行した場合でも、すでに調査を行うテーマが絞られていることから、調査が短時間で終了することが多く、納税者・税理士ともに負担が軽減されるといわれています。

 

書面添付の割合

財務省は、平成28年10月に「平成27事務年度 国税庁実績評価書」を公表しています。

これによると、税理士法33条の2に規定する書面の添付割合(税理士が関与した申告書の件数のうち、書面添付があったものの件数の割合)は、税目別に各年度以下の通りです。

  • 所得税は、翌年3月末までに申告書の提出があったものが対象
  • 相続税は、その年の10月末までに提出のあったその前年の相続に係る申告書が対象
  • 法人税は、4月決算から翌年3月決算法人について、翌年7月末までに申告書の提出があったものを対象としている

 

あくまでも税理士の判断により行うもの

この書面添付制度、すこしずつ添付割合が増えているとはいえ、まだまだ一般的とはいえる水準ではありません。

日本税理士連合会が挙げている「書面添付制度のメリット」には、前述した調査の省略や効率化以外にも、

  • 事務所の業務水準の向上
  • 決算書及び申告書の質と信頼性の向上
  • 税理士の責任範囲の明確化
  • 関与先の経営力の向上、などがあります。

 

書面添付はあくまでも税理士の判断により行うものです。

例えば、法人税や所得税なら、関与先の帳簿や資料が正しく適正に記帳され、保管されていることを確認したうえで、税理士自身が書面添付を行うかどうか判断する必要があります。

先に挙がってるような、事務所全体の業務水準の更なる向上を図るために書面添付を実践するというのは、本末転倒的な考えで、関与先ごとの事情を踏まえたうえで書面添付を行うかどうかを税理士が判断してこそ、その効果が発揮されるものと考えます。

そのうえで、税務署だけでなく納税者に対する説明資料ともなり、税理士自身の思考過程についての記録的な効果も期待できるものであれば、書面添付割合は今後向上していくでしょう。


・・・このブログ記事の内容は、投稿時点での法律や状況に基づいて記載しています。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行ってください。・・・

このブログを書いた税理士 小柳志保のプロフィール

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