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相続発生後の入金で相続税の課税対象となるもの

相続発生後

年金や高額療養費、保険料還付金などが

亡くなった方の銀行口座に入金されたり

それらを遺族が受け取ることがあります

これらはすべて相続財産に加えなくてはならないのでしょうか

 

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相続発生後に行う年金や保険料の精算

相続が発生したあと、亡くなられた方の未支給年金高額療養費社会保険料の還付金などを受け取ることがあります。

反対に、固定資産税住民税等を納付したり、後期高齢者医療保険料介護保険料を相続発生後に支払ったりすることもあります。

受け取った金額を相続財産に加えなければならないのか、支払った税金や社会保険料を相続税申告の際の債務控除の対象になるのかは気になるところ。

これらの入出金のなかには、国税庁の質疑応答事例で相続税の課税対象にならないことが回答されているものや、相続財産に該当しない場合は相続人の所得税の課税対象となるなど固有な取扱いがあります。

今回は相続発生後の入金にのみ絞って、それぞれの課税関係を説明します。

 

相続財産に該当しない未支給年金

相続発生後に遺族が受け取る入金として未支給年金があります。

未支給年金とは、亡くなられた方が生前に受け取るべき年金を相続開始後に遺族が受け取ることです。

年金は、偶数月にその前月までの2か月分が振り込まれますので、必ず未支給の年金が発生します。例えば、7月18日に亡くなった方の未支給年金(6-7月分)は8月15日に入金します。

年金支給のタイミングにより、亡くなられた方の銀行口座に未支給の公的年金が入金されたり、これらの年金を遺族が受け取る場合があります。

未支給年金の請求権は、国民年金法の規定よって遺族の固有の権利とされているため、遺族が受け取った未支給年金は、相続税の課税対象とはならず、支給を受けた遺族の所得税の課税対象(一時所得)となります。

未支給の国民年金に係る相続税の課税関係|相続税・贈与税目次一覧|国税庁

 

未支給年金とは全く内容が異なりますが、相続財産に該当しない相続後の入金のひとつに、葬祭費・埋葬料・埋葬費等の受取があります。こちらは死亡届を提出する遺族が葬儀等の終了後に手続きをするもので、国民健康保険の場合には、葬祭費、健康保険の場合には、埋葬料・埋葬費といった名目で死亡後に5万円前後が支給されます。

この葬祭費・埋葬料・埋葬費等は、相続財産ではなく相続人が受け取るべきものですので、相続税申告の対象とはなりません

 

相続財産に該当するもの

相続発生後に遺族が受け取る金銭のうち、亡くなった方の本来の相続財産として相続税の課税対象となるものの一例を挙げます。

  1. 健康保険の高額療養費の還付金
  2. 高額介護サービス費の還付金
  3. 国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料等の過誤納還付金
  4. 臨時福祉給付金
  5. 所得税の還付金

1,2の高額療養費・高額介護サービス費について

被相続人の生前の医療費や介護費用について高額部分の還付請求をし、死亡後に還付があったものは相続財産に該当します。このような還付金は、医療や介護サービスを受けた被保険者に対して支払うものであり、本来、還付金を受け取るのが亡くなった方に該当するためです。

3の過誤納還付金について

死亡後に生前に納付した各種社会保険料の過誤納金が還付されることがありますが、こういった過誤納還付金は保険料精算後の返金に該当するため、相続税の課税対象となります。

4の臨時福祉給付金について

消費税が8%へ上がったことにより一定の要件を満たす人に交付されることとなった臨時福祉給付金については、生前に請求し、死亡後に入金された場合には相続税の課税対象となります。

5の所得税の還付金について

亡くなられた方が確定申告をしていたり、予定納税をしていたことにより、相続発生後に所得税の還付金が入金する場合があります。この還付金は相続財産に該当します。

あまりケースは多くありませんが、還付金とともに還付加算金を相続人が受け取った場合、還付加算金は、還付金と異なり、相続人の固有財産となるため、相続税の課税対象とはならず、相続人の所得税(雑所得)の対象となります。

準確定申告(亡くなった後にする確定申告)による受け取った還付金も同様の取り扱いです。

被相続人の準確定申告に係る還付金等|相続税・贈与税目次一覧|国税庁

 

 


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このブログを書いた税理士 小柳志保のプロフィール

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